ダランベール法はルーレットや、バカラ、クラップスといったカジノゲームで用いられるベッティングシステム (ベッティング戦略) の一つです。別名ピラミッド法とも呼ばれていて、フランスの数学者、物理学者でもあり哲学者でもある「ジャン・ル・ロン・ダランベール」によって考案されたと言われています。
基本的にプレイヤーが負けるたびに賭け金を増やし、勝つたびに賭け金を減らすというシンプルな戦略。有名なマーチンゲール法同様、負けるたびに賭け金を増やすネガティブプログレッションシステムの一種で、大きく勝つことはできないものの、勝敗数が同程度である場合に小さな利益が出るというシステムです。
ダランベール法はルーレットの赤/黒ベットやバカラのプレイヤーベットなど、勝率が約2分の1で配当が2倍となるゲームで使うことができます。 メリットは、他のベッティングシステムと比べるととてもシンプルで簡単に実行できる点。また、賭け金が急激に増えることがないため、比較的容易に資金管理を行うこともできます。ただしゲームの結果によっては勝てない場合もあり、連敗が続くと損失額が大きくなる点には注意しましょう。
ダランベール法をルーレットで使う方法
それでは早速、ダランベール法をルーレットで実際に活用する方法を見てみましょう。
- 赤/黒、偶数/奇数など、配当が2倍になるベットを選ぶ。
- テーブルミニマムの5倍~10倍ほどの額のベットを置く。
- 負けたら次のベットを1単位上げる。
- 勝ったら次のベットを1単位下げる。
- 目標額に達するかベットが0になるまで続ける。
たったこれだけ!簡単ですよね。ただ、あまりにも負け越しラウンドが多い場合などでは勝てないこともあるので決して必勝法というわけではありません。
それでは、もう少し具体的にダランベール法を掘り下げてみましょう。
ダランベール法の具体的な仕組み
ダランベール法はルーレットやバカラといったイーブンマネーベット(勝率約50%で配当が約2倍のベット)が賭けられるカジノゲームで有効に使えるベッティングシステムです。逆に、それ以外のゲーム/ベットには適していません。マーチンゲール法やパーレー法などのようにゴールが明確ではないものの、勝敗数がどちらかに偏らないゲームセッションでは引き分けに終わる代わりにいくらかの収益を上げられる戦術として知られています。
それでは、ダランベール法における重要なポイントを解説していきましょう。
ダランベール法に適したゲーム/ベット
ダランベール法は勝率約50%、配当が約2倍となるイーブンマネーベットに最適なのは先ほど示したとおりですが、実はカジノゲームではそれほど選択肢が多くありません。日本人ギャンブラーにも親しみがあるものだと:
ルーレットのイーブンマネーベット
赤/黒、偶数/奇数、ハイ/ローのアウトサイドベットがこれに該当。単一数字賭けのインサイドベットや、配当3倍のアウトサイドベットには適していません。
バカラのプレイヤーベット
勝率が1/12ほどのタイベットには当然のことながらダランベール法は使えません。5%のコミッションが引かれるバンカーベットにも使えないことはありませんが、最適ではありません。
クラップス
日本人にはあまり馴染みのないゲームかも知れませんが、アメリカでは大人気。Pass/Don’t PassとCome/Don’t Comeの各ベットがイーブンマネーです。
なお、ダブルダウンやスプリットでラウンド中に賭け金を増やさなければならない可能性があるブラックジャックにはダランベール法は向いていません。
スタート時の賭け金を決める
まずはゲームセッションで賭け金の上げ下げをおこなうための「1単位」を決めます。ちなみにダランベール法は勝利ラウンドのたびにベットを下げなければならないため、テーブルのミニマムベットから始めることはできません。一般的には1単位の10倍ほどのベットから始めるのが理想的とされています。つまり、例えば1単位を$1と決めたなら、セッション最初のベットには$10を賭けます。
負けたらベットを1単位増やす
ダランベール法は負けた後にベット額を1単位だけ増やすのがルールです。例えば、$10賭けて負けたら次のラウンドでは$11賭けます。ベットの上昇が緩やかなため、同じネガティブプログレッションのベット戦略であるマーチンゲール法ほど急激に賭け金が増えていくリスクがないのがダランベール法の特徴です。
勝ったらベットを1単位減らす
逆に、ベットが勝利した場合は賭け金を1単位だけ減らします。つまり$10賭けて勝ったら、次のラウンドは$9賭けるというわけです。 大きく勝ち越してしまうといずれ次のベットが$0になってしまうので、そうなった場合はゲームをやめるか再度$10ベットから新たな セッションを始めます。
ダランベール法の具体的な使用例と収支
もう少しわかりやすくイメージできるよう、実際の使用例のシミュレーションを見てみましょう。スタート時のベットは$5で8ラウンドプレイしたものとします。
- $5ベット:負け
- $6ベット:負け
- $7ベット:勝ち
- $6ベット:負け
- $7ベット:勝ち
- $6ベット:勝ち
- $5ベット:負け
- $6ベット:勝ち
結果は4勝4敗。では、収支はどうなったでしょうか?
0-5-6+7-6+7+6-5+6 = 4
なんと、$4の収益を上げることができました!同額をずっと賭け続けていたら当然収支は±0になっていたわけですから、勝った回数と負けた回数が同じでも利益を得られる、というのがダランベール法の強みだということになります。
逆ダランベール法とは?
逆ダランベール法は勝つたびに賭け金を1単位だけ上げ、負けたら減らすベット戦略。ポジティブプログレッションに分類されます。文字通りダランベール法を逆にした賭け方で、コントラ・ダランベール法と呼ばれることも。 ダランベール法同様、配当が2倍となるイーブンマネーベットで使うことができます。
それでは、逆ダランベール法でも簡単なシミュレーションをしてみましょう。
- $5ベット:勝ち
- $6ベット:勝ち
- $7ベット:負け
- $6ベット:負け
2勝2敗にも関わらず、収支はマイナス$2となってしまいました。逆ダランベール法の特徴をまとめておきます:
- 逆ダランベール法は損失を抑えつつ、しっかり利益を狙っていくベット戦略。
- ダランベール法が損失を抑えることに長けているのに対して、逆ダランベール法は大きく勝ち越した場合にフラットベットよりも大きな収益を上げることが可能。
- デメリットは、勝敗数が同じ場合は損失を出してしまうという点。
逆ダランベール法も必勝法ではないので、勝てないことはあります。それを踏まえた上で、両方試して自分に合うものを見つけてみては?
ダランベール法のメリット
ダランベール法を利用するメリットをわかりやすくまとめておきます。
シンプルで覚えやすい
ダランベール法はゲームラウンドの勝敗によって賭け金を変更する、とてもシンプルな戦略です。そのため初心者でもすぐに習得することでき、手軽に実践することができます。
五分五分のセッションでも利益が出る
これがおそらく最も大きな利点でしょう。先の例でも示したとおり、ダランベール法では勝敗数が同じであっても利益が出る仕組みになっています。
損失を最小限に抑えることができる
ダランベール法はその仕組み上、負け越した場合でも損失を最小限に抑えることができます。手持ち資金が少ないプレイヤーや資金を失うリスクを抑えたい時に有効な戦略です。
ゲームの結果に柔軟に対応できる
プレイヤー自身が目標とする収益を決め、それに合わせて賭け金を自由に調整することができます。また、マーチンゲール法とは異なり好きなタイミングでいつでもやめられるというメリットもあります。
ダランベール法のメリット
どんなベット戦略でもそうですが、メリットばかりでもありません。デメリットもよく理解した上で活用してみましょう!
必勝法ではない
いかなるベット戦略にも完璧な必勝法というものはありません。ダランベール法を使ったとしても、もちろん勝てないことはあります。
大きく勝ち越した場合は損
その性質上、負けより勝ちが多いセッションでは同額を賭け続けるフラットベットよりも収益が小さくなってしまいます。また、大きく勝ち越すといずれ次のベットが0になってしまい、その後どうするかはプレイヤー自身が判断しなければなりません。
大きく負け越すと損失が膨らむ
ダランベール法は負けるたびに少しずつ賭け金を増やしていく戦略のため、負けが続くと損失が膨らむので注意が必要です。対策として、ゲームを始める前にあらかじめ損失額の上限を設定しておき、勝てない場合はプレイを中断するようにしましょう。