株とFX(外国為替証拠金取引)はどちらも投資の世界では代表的な存在ですが、どちら優れているかを一概に決めることはできません。投資を始める際は、以下のようなポイントを踏まえた上で、正しい投資対象を選択することが大切です。
- 目標設定
- リスク許容度
- 自分の性格と取引スタイル
FXは市場の流動性が高く、平日24時間ハイレバレッジの取引が可能なところが魅力ですが、一方の株は他の投資よりも安定していてボラティリティが低いため、優良企業の株に投資すれば配当金などから高い収益を得ることができます。
この記事では、株とFXについて取引時間やレバレッジ、ボラティリティなどの観点から比較し、それぞれの違いについて紹介します。
株とFXの違いについて
冒頭でも述べた通り、FXと株はそれぞれ世界で最も人気のある金融取引です。これまでの出来高や流動性の高さ、数多くの教材が利用できることなどがその人気を支えており、スプレッドベッティングやCFD(差金決済取引)などのデリバティブ(金融派生商品)も含め、様々なトレーダーが日々売買の取引を行っています。
FX市場は世界で最も流動性の高い市場で、メジャーな通貨からマイナーなものまで様々な通貨を対象とした取引ができます。特に人気なのは米ドル、ユーロ、英ポンド、日本円などのペアで、これらの通貨の為替レートの変動幅をFXの世界では「pips(percentage in points)」と表現します。

株式市場にはマイクロソフトやアップル、アマゾンなど巨額の時価総額を誇る大企業の優良株や、映画「ウルフ・オブ・ウォールストリート」で主人公が買い漁ったペニー株(極端に安値の株)があります。

株とFXの違いその1:取引時間
為替市場と株式市場は取引時間が異なります。タイムゾーンの関係上、FXでは平日24時間取引が可能で(世界のどこかの市場は必ず開いているため)、株取引に対する1つのアドバンテージになっています。株式市場はその国や地域の取引所ごとに決まった取引時間が定められています。
例えば、ロンドン証券取引所(LSE)の取引時間は08:00から16:30まですが、ロンドンのFX市場は08:00から16:00まで開いており、ニューヨークと東京のFX市場の時間が連続して重なっています。また、アジア太平洋地域の一部の株式取引所には昼休みがあるため、取引時間の点ではFXの方が柔軟性が高いと言えます。ただし、FXも株も土日は取引所は休みです。
株とFXの違いその2:流動性とボラティリティ
ボラティリティとは市場における価格の値動きのことです。FXも株も、取引で利益を得るか損をするかはこの値動き次第となります。
FXのトレーダーは高い流動性を求める傾向があります。高い流動性とは、その価格に大きな影響を与えることなくいつでも売買が行えることを意味します。高い流動性とボラティリティの市場は、短期トレーダーにとっては利益を出すチャンスで、FXには価格が乱高下している時にわずかな価格変動から利益を出すために、高速でピンポイントの取引をする手法が数多く存在します。
一方で株のトレーダー、特に長期保有の戦略を取っているトレーダーは優良企業の株を保有する傾向が強く、優良企業とは安定した株価あってこそのものであるため、価格が乱高下する市場は気が休まらないかもしれません。したがって、このような短期間での値動きを求めていないトレーダーにとっては、市場の乱高下はプラスとはならないのです。
株とFXの違いその3:市場規模と取引量
株式市場ではテクノロジー、製薬、自動車など様々な業種の株を優良株・ペニー株含め売買することができ、ダウ平均株価やS&P500などの世界的に権威のある株価指数も存在しますが、1日の出来高(売買取引の量)が約50億ドルのFX市場と比べるとやや見劣りしてしまいます。
また、銘柄数の多さがFXに対するアドバンテージとは一概に言えず、一部のトレーダーは多様な株式よりも、FX市場で一貫して高い人気を誇る通貨ペアの方を好む場合があります。
株とFXの違いその4:レバレッジ
FXと株の比較でレバレッジは外せない観点です。レバレッジとは、取引口座に預けた証拠金を担保に、その証拠金に対する一定倍数の金額を取引できる取引方法です。 例えばレバレッジが5倍の場合、5万円の証拠金で25万円分の取引が可能となります。スプレッドベッティングやCFDなどのデリバティブでも、少額の証拠金でそれよりも大きい金額の取引が行えます。レバレッジは少額の証拠金で大きな利益が得られるメリットがある一方、損失も大きくなる点がデメリットです。
FXのレバレッジは20倍、株だと5倍が一般的なため、株の方が損失によるダメージは低くなっています。しかしながら、経験豊富な短期FXトレーダーはハイリスク・ハイリターンを求めるため、より大きなレバレッジの取引を行うこともあります。
株とFXの違いその5:取引戦略
FXにはトレーダー用のツールや戦略が充実している点も、FXと株の大きな違いです。FXの戦略は短期で利益を狙うことを目的としたものが多く、デイトレード、スイングトレード、スキャルピングなどがその代表例です。デイトレードやスイングトレードはFXだけでなく株やその他の投資でも応用ができますが、一般的に株トレーダーは長期保有で取引することが多いため、FXと比べて短期で利益を狙う手法はそれほど普及していません。
FXに関するよくある質問
ここからはFXに関するよくある質問にお答えしていきます。
FXでよく聞く「クレジット」って何?
「クレジット」とはサービス提供事業者からのボーナスのようなもので、レバレッジ取引の証拠金として使うことができます。取引口座への入金額に対して一定の割合の額が無利息・無期限のクレジットとして付与されます(割合は事業者によって異なります)。クレジットを利用した取引で得た利益はクレジットに加算されます。
FXと株はどっちがハイリスク?
株は優良企業に投資すれば、基本的に損をする確率は低くなりますが、FXはハイレバレッジで取引ができることに加え、ハイリスクをいとわないトレーダーが多いことから、一般的にFXの方が株よりリスキーだと言われています。
また、株の世界ではバランスシートや、企業の製品、業績指標などから将来の株価を予測することができるのに対し、通貨は国の経済や地政学的要因(紛争、貿易協定、選挙など)といった予測困難な外部要因による影響を受ける点も、FXを難しくハイリスクなものとしている要因です。
まとめ
以上、株とFXの違いについて見てきたわけですが、これから投資を始めようと考えている方にとって、どちらがおすすめかをまとめると以下のようになります。
ポイント
株:安定性が高く規制も行き届いているため、長期的なリターンを目標とするのであれば株投資がおすすめ。
FX:市場のボラティリティが高いため、短期的なリターンを目標とするのであればFXがおすすめ。
また、どちらか1つに絞るのではなく、それぞれのリスクのレベルを理解した上で両方に投資するという選択肢もあります。この記事を参考に、是非自分に適した投資ジャンルを見つけてください。