トランプはいつからあるの?歴史や絵札・マークの意味について徹底解説
トランプというと家族や友達と遊ぶカードゲームとして、世界中で親しまれていますが、実はかなり歴史の長いカードゲームです。 本記事では、トランプの歴史やカードに書かれているマークの意味などを解説していきます。 トランプの起源について トランプの起源については諸説ありますが、トランプの使用が記されている最古の文献は、9世紀ごろに中国で書かれた書物です。 「杜陽雜編」という書物で、そこには、唐時代の易宗皇帝の娘が友達たちと遊んだ「葉子戯」という遊びが記されています。 そこから、交易や探検を通じて、トランプは世界中に広まっていったとされています。ここからは、トランプがどのように進化し、現在のような形になったかについて説明していきます。 中国:初期の歴史 トランプの起源については、かなり議論のあるところです。9世紀頃、中国の唐の時代に作られたという説もありますし、また、麻雀やドミノなどの牌を使ったゲームと一緒に発展してきたという説や、サイコロやチェスと関連しているという説もあります。 いずれにせよ、トランプがヨーロッパに伝わったのは、十字軍の兵士たちが中東から帰国した14世紀であることは間違いありません。 トランプがまだ普及しておらず、カードとして実際に使用される以前は、ギャンブルゲームでチップとして使われていたという推測もあります。 ヨーロッパ:トランプの伝播 14世紀になって、ヨーロッパで最古のトランプが発見されました。この時代になると、アジアから伝わった多くのゲームや娯楽とともに、トランプもまた、ヨーロッパ大陸に普及し始めたのです。 正確な伝来時期は不明ですが、ヨーロッパに伝わって間もない頃は、トランプはギャンブルゲームで使用されます。最初は、貴族や上流階級のみが使用することができたとみられていますが、やがて庶民の間にも広まっていきました。 一般的に、トランプは中国からヨーロッパに伝わったと信じられていますが、そうではない説もあります。 それが、エジプト起源説です。エジプト人が中国人と交易を行い、東西の架け橋となっていた頃、商人として活躍していたアラブ人が、ヨーロッパにトランプを持ち込んだとする説です。 現存する最古のトランプとして知られているのが、(エジプトを中心に支配した)マムルーク朝のトランプ。 13世紀に作られ、当時のエリート軍隊が余暇に使っていたとされています。また、マムルーク朝のトランプは、1デッキに52枚のカードを持つ最古のトランプの一つでもあります。 スペイン トランプがヨーロッパで普及するにつれ、各国の状況やニーズに合わせて、変更や改良が行われました。スペインもそのうちの一国です。 スペインでは、フランスやドイツなど、他の国のトランプとはかなり違っていました。中でも、最大の違いは、52枚あるべきカードが48枚しかないという点です。 スペインのトランプの発展には、アラブ人が大きな影響を及ぼしました。というのも、トランプを初めてスペインに持ち込んだのは、アラブ人であったからです。 しかし、アラブ人のトランプは、時代を経るとともに、それぞれの国のニーズに合わせて改良され、適応していきました。 スペインのトランプは、10やクイーンが欠けていたため、宮廷で使用されたトランプは、キング、ナイト、ジャックで構成されていました。 1310年、バルセロナにて、公の場でトランプを使うことを禁じる法令が発布されます。これは、トランプがギャンブルの一種とみなされ、教会がそれを認めなかったためです。 イタリア 現代のトランプの発展には、イタリアも大きく関わっています。1377年、イタリアのフィレンツェでトランプが禁止されましたが、ほどなくして再び流行。トランプの製造で重要な役目を果たしたのは、イタリア人芸術家たちでした。 芸術家たちはその才能を生かして、トランプに美しい絵を描いたのです。それゆえ、イタリアで最初に作られたトランプは、実用的であるだけでなく、見た目も美しい手製のものでした。 繊細な絵が描かれた木製のイタリア版トランプは、やがてヨーロッパで大人気となり、他の多くの国もそのデザインを真似るようになったそうです。 ヨーロッパ:新たなトランプの誕生 トランプに関する最古の記述は、1377年、ドイツ人修道士ヨハネスが書いた写本の中でした。ヨハネスはスイスの修道院に滞在していた際、トランプの発展とそれを使ったさまざまなカードゲームについて述べています。 14世紀末から15世紀初頭にかけて、トランプの人気がさらに高まります。当時のヨーロッパのトランプには、ソード(剣)、カップ(聖杯)、ワンド(棍棒)、コイン(貨幣)の4つのスート(マーク)が使われていました。 この4つのスートは、「ラテンスート」とも呼ばれていますが、これは現在でも、スペインやイタリアで使われているタロットカードと関連しているのかもしれません。 それ以前に作られたトランプは、手描きのもので、特にコートカード(宮廷カード)が有名です。イタリアのトランプには、キング、ジャック(またはナベ)、クイーンがあった一方、スペインのトランプには、クイーンが欠けて、キングとジャックしかありませんでした。 また、スペイン発祥のゲーム「オンブル」に8や9を使うことはなく、スペインで最も多いトランプであっても、1デッキに40枚しかなかったそうです。 ドイツ:トランプの製造が盛んに 当時のトランプは、高価なアイテムであったため、貴族や富裕層のみが手に入れることを許されていました。 しかし、徐々に人気が高まるにつれ、より低いコストで製造できる新しい方法が考案されます。トランプが入手しやすくなったことでドイツにも普及し、多くの兵士たちがプレイするようになりました。 ドイツでは、彫刻や木版画の技術を駆使したトランプの大量生産が始まり、西ヨーロッパ中に広まりました。 また、スートの標準化に貢献したのはドイツ人でした。15世紀、ドイツのカードメーカーが、ソード、カップ、コインといった伝統的な絵柄の代わりに、ハート(心臓)、ベル(鈴)、リーフ(木の葉)をあしらった新しいデッキを作ったのです。 これは、言語や文化に関係なく、誰もが簡単に使えるスタンダードなデッキを作るためでした。また、ドイツ人は、クイーンをジャックに、エースをツーに置き換え、1デッキにカードは48枚と設定しました。 もう一つ、ドイツ人がマムルーク朝から伝わったトランプに加えた変更は、コートカードの置き換えです。コートカードには、マムルーク王朝時代の絵柄が描かれていましたが、それをヨーロッパの絵柄に置き換えたのです。 この新しい絵柄は、ヨーロッパ人の考える王族や貴族を表しており、王、女王、そして従者で構成されています。 フランス:現代スートの開発 現代に見られるようなスートが作られたのは、15世紀初頭のフランスです。 また、スートの色が黒と赤に分けたのも、フランス人でした。色を単純化することで、印刷業者は特殊な型紙を作ることができるようになり、カードの生産スピードが大幅に向上したのです。 印刷工程や製紙技術の発展によって、トランプの価格はよりお手頃になり、多くの人々が入手しやすくなりました。 こうして、フランスはヨーロッパ最大のトランプメーカーとなります。当時のフランスには、トランプで遊ぶ余裕のある人が多く、需要が増えたうえに、大量生産が可能になったことがその主な要因とされています。 フランスを見習って、ドイツ、イタリア、アメリカなど、多くの国々がその後に続き、19世紀末頃には、ヨーロッパのほとんどの国でトランプが広く普及していました。 カジノでトランプが使われるように 17世紀にはイタリアで世界初のカジノが誕生し、トランプを使ったバカラやブラックジャックが人気となります。その後カジノはまたたく間にヨーロッパ中に広まり、モナコ、フランス、ドイツ、イギリスなどでへ拡大していきます。 さらに18世紀にはアメリカ大陸へと進出。特にアメリカではトランプを使ったポーカーが大人気となり、その後のラスベガスやアトランティックシティといったカジノ都市の勃興や巨大カジノ業界の隆盛に一役買うことになります。 イギリス:英国式トランプの台頭 トランプ大国となったフランスでしたが、高額な税金が課せられていたため、ベルギーに移ったカードメーカーもあり、他のヨーロッパの国でもトランプが製造されるようになります。そしてついに、島国であるイギリスにもトランプが登場し、クラブ、ダイヤ、スペード、ハートなど、フランスやイタリアのデザインを含むすべてのスートに英語名が付けられたのです。 また、スペードのエースの製造を担当したのはイギリスでした。スペードのエースを工場から出荷する前に、メーカーが税金を払った証拠として、判子を押すことが義務づけられていました。 ところが1828年になると、特定のスペードのエースは国税庁から購入しなければいけないことに。それは、緻密なデザインとメーカー名が入った、世界に1つだけのカードでした。1862年に、カードメーカーが独自のスペードのエースを作ることが認められたにもかかわらず、この伝統は今もなお続いています。 … Read more